茨城県土浦市桜町の小児科

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【病気の情報】
「風邪」の基礎知識・経過について

保育園・幼稚園児のお子さんをお持ちのご家族の皆さん、こんにちわ。
通園、集団生活が始まって約3週間が経ちましたね。咳や鼻水、発熱などのいわゆる「風邪症状」をすでに経験されているお子さんが多いと思います。
 
「保育園の洗礼を浴びました…」
 
といって受診される方が最近ふえてきました。
今回はこの風邪がテーマです
 
内容は以下の通りです。
1.乳幼児が風邪をひく回数
2.風邪の一般的な経過
3.幼稚園・保育園時代に風邪をひく意義
4.当院での対応
5.まとめ
 

1.乳幼児はどれくらいの回数、風邪をひくの?

世界的に読まれている小児科テキストの「ネルソン小児科学」(第20版 2015年)には以下のように書かれています。

  • 乳幼児は1年間に6~8回の風邪をひく。
  • 10~15%の乳幼児は12回以上ひくことがある。

 

2011年から2016年にかけて都内の保育園で行われた調査では、1年間に風邪をひいて欠席した平均日数が各年齢ごとに明らかにされていました。

野原 理子ら.東京女子医科大学雑誌 87巻5号 Page146-150 (2017年

  • 1歳未満では年間平均19回、つまり月1日以上の欠席があったそうです。
  • 3歳以上でも年間平均5~7日は欠席しており、2か月に1回前後の欠席はある計算になります。

 

当院で伺う親御さんのお話しでは、
  • 通い始めて3~4か月くらいは10日くらいして風邪がよくなると、また別の風邪をもらう繰り返しだった…
  • ほぼ毎週末、発熱していた
という方もいらっしゃいます。大人では考えられないくらいの頻度ですよね…。
 

2.風邪をひくとどんな経過になるの?

鼻炎症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)、咳、発熱が何日くらい続くのかについては以下の二つの報告が参考になります。
 

全体の症状について

風邪と診断された86人の小児(5~12歳)を対象に、症状の推移を10日間追跡した米国の報告です。

鼻炎の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)は3~5日目にピークがあります。咳は2日目にかけて増え、それ以後7日目くらいまではほぼ横ばいでその後、徐々に消えていきます。

 
 
小学生でこれくらいの日数ですので、未就学のお子さんではこれより長く、咳や鼻炎症状は2週間くらい続く印象があります。
 

咳の日数について

「咳が続くのですが喘息ではないでしょうか?」
という感じのご相談も良くありますのでこちらのグラフをお示しします。
こちらは風邪を引いた228人の0~4歳のお子さんの咳がどれくらい続いたか、という調査です。
 
 
グラフの一部を和訳し、注釈をつけてあります

 

  • 10日目の時点で2人に1人の咳が残っている
  • 2週間の時点で4人に1人の咳が残っている
  • 4週間かかる人も10%いる

という結果でした。

0~4歳という低い年齢では、普通の風邪でも咳は長引きやすことが分かります。
 

3.保育園時代に風邪をたくさんひくと、

小学生になってからひかないって本当?

 
本当のようです。
 

アメリカの調査ですが、保育園に通う子供と通わない子どもの合計約1000人をフォローし、風邪の回数を比較した調査があります。

  • 保育園に行く子どもの方が風邪の回数は多く、2~3歳のころは約1.5~2.2倍の頻度で風邪をひきました。
  • しかし6歳を超えると、保育園に通った子どもたちが風邪をひく頻度の方が約半分(最大で10分の1!)に減りました

Ball TM, Holberg CJ, Aldous MB, Martinez FD, Wright AL. Influence of Attendance at Day Care on the Common Cold From Birth Through 13 Years of Age. Arch Pediatr Adolesc Med. 2002;156(2):121–126. doi:10.1001/archpedi.156.2.121

 

小さいうちに風邪をひくことにも意味がある!、という有意義な論文だと思いました。

 

4.当院では

以下のような診療を心掛けています。

  • 本当に風邪なのか?、他の重要な疾患ではないか?、重症度はどうか?、について問診と大まかな視診で判断します。
  • 風邪の中でも、副鼻腔炎、中耳炎、肺炎、気管支喘息など合併症を伴っていないかを詳しく問診と診察で判断します。必要であれば迅速検査、レントゲン、採血を行います。
  • 治療の内容は出来るだけ最小限にしています。とくに抗菌薬は副作用と薬剤耐性菌の問題がありますので注意して処方しています。

 

5.まとめ

風邪の一般的な経過を頭の隅に置いていただくことで、ひと呼吸おいて落ち着いた気持ちで経過をみる手助けになれば幸いです。

一方で、ご家族が感じる「この症状はおかしい!」「いつもの風邪と違う!」という直感はとても重要で、個人的には検査などより重要な情報になることもあると思っています。

遠慮なくweb問診票や、診察の時にお伝えください。スタッフに伝えるのでもOKです。

 

 

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