大人も子供も汗をかきやすい季節になってきました。
湿度が高い時の汗は体がべたべたして気持ち悪いですよね~
つい汗を悪者にしてしまいがちですが汗には良い面もあります。
アトピー性皮膚炎の人へのアンケート研究でも、運動による汗が悪化要因と答えたのは41.8%と報告されており、みんなが汗で悪化するわけではありません。
今回はこれから秋ごろまで悩まされる汗について扱ってみたいと思います。
今回の内容は以下の6個です
1.汗ってなに?
2.大人と子供の汗の違い
3.汗のメリット
4.汗のデメリット
5.汗とアトピー性皮膚炎
6.まとめ
2.大人と子供の汗の違い
3.汗のメリット
4.汗のデメリット
5.汗とアトピー性皮膚炎
6.まとめ
1.汗ってなに?
汗というと「なめるとしょっぱい」というイメージがあると思います。確かに汗には塩分(塩化ナトリウムNaCl)が含まれているので、これがしょっぱさの原因ですね。このほかにも汗には
- 天然保湿因子:乳酸ナトリウム、尿素
- 抗菌ペプチド:カセリシジン、ダームシジン
などの体に有用な成分も含まれています。
(皮膚アレルギーフロンティア (1348-7280)18巻1号 Page7-10(2020.02))
2.大人と子供の汗の違い
子どもの発汗量は大人より少ないことが知られています。出生直後がもっとも少なく、年齢を追うごとに少しずつ量が増えて、12歳がピークです。これ以後は徐々に発汗量が減り、高齢者なるにつれてとくに手足(とくに下半身)の発汗量から減っていきます。
(皮膚アレルギーフロンティア (1348-7280)18巻1号 Page7-10(2020.02))
「子どもは汗っかき」
というイメージがありますが実は幼児は大人よりも発汗量は少ないです。
その分、とくに頭や体幹といった面積が広い部分の血流を増加させて放熱するため、お子さんの頭がシャワーを浴びたように汗でびしょびしょになったり、背中や胸にたくさん汗をかいていることがあります。これは体温調節するために必死に汗をかいているサインなんですね。
(大塚製薬 知って防ごう熱中症 2015年 https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/publish/pdf/guidebook_part4.pdf)
3.汗のメリット
汗の大部分の成分は水分で、上のように保湿成分や皮膚のバリア機能を保つ成分も含まれています。
当然、体温を調節するのにも欠かせませんね。
4.汗のデメリット
汗が長時間皮膚に付着していると
- 汗の分泌腺がつまってしまい、汗疹(あせも)の原因になる
- 汗の成分が皮膚組織内に漏れるとかゆみを起こすことがある
などのデメリットがあります
(皮膚アレルギーフロンティア (1348-7280)18巻1号 Page11-14(2020.02))
5.汗とアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎があってもなくても、汗は体に必要な物質である事に変わりありません。
ただし、汗をかきっぱなしにするとデメリットが出てしまいます。
日本の54人の小学生のアトピー性皮膚炎患者さんに対して、昼休みに石鹸やシャンプーを使わないシャワー浴と軟膏塗布を追加したところ、症状が改善した、という報告があります。
(Mochizuki H, Muramatsu R, Tadaki H, Mizuno T, Arakawa H, Morikawa A. Effects of skin care with shower therapy on children with atopic dermatitis in elementary schools. Pediatr Dermatol. 2009 Mar-Apr;26(2):223-5.)
個人的には、みんながこのデータに従う必要はないと思いますが、
- アトピー性皮膚炎があって
- 汗で悪化しやすい傾向があるお子さん
の場合は、夜の入浴を待たずに、帰宅直後にシャワーを浴びて保湿をした方が良いかと思います。
6.まとめ
汗にはメリットもありますので対処法は、
- アトピー性皮膚炎があるかどうか?
- 汗で悪化するか?
によって変わってきます。
アトピー性皮膚炎は、年齢によって出やすい部位が異なり、お子さんによって経過のパターンも異なります。
夏に向けて「なんとなく治りにくい湿疹がある」、「いい時もあるけど、悪い時もある湿疹が部分的にある」という方は診察させていただければ、夏への対策を一緒に考えていきたいと思います。