茨城県土浦市桜町の小児科

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包茎について

うちの子のおちんちんなんですけど…
 
何歳まで様子をみてもいいんですか?
 
やっぱり手術しかないですか?
 
という包茎に関するご相談も時々あります。
お母さんからの事が多いですが、お父さんからご相談を受けることもあります。
 
今回はこどもの包茎について、以下の内容をお話しします。

1.包茎の種類

2.頻度と自然歴(〇歳なら〇%など)

3.気を付けるべき陰部の病気

4.日常のケアと内科的な治療方法

5.手術について

 
 

1.包茎の種類

包茎には以下の2種類があり、一般に包茎というと「真性」を指します。

(出典:小児外科学会のHP)

  • 真性包茎(写真:右)…おちんちんの先(亀頭)を出せないもの
  • 仮性包茎(写真:左)…包皮をめくって先を出せるもの
 

2.頻度と自然歴

新生児期はほとんどすべての男児が包茎ですが年齢が上がるごとに改善していきます。

(出典:佐藤 裕之.小児外科 50巻8号 Page846-85 (2018年))
 
改善していく理由としては
  • ペニス自体の成長
  • 癒着している包皮と亀頭の間に恥垢が出ること
  • 勃起により引っ張られること
などが関係しているそうです。
 

3.気を付けるべき陰部の病気

包茎であってもなくても男児の陰部に起こる病気として、亀頭包皮炎があります。これは皮膚への細菌感染で包皮の先端や陰茎の皮膚全体に赤味や腫れ、痛みが出た状態です。抗菌薬を塗って治療します。
 
包茎だと、程度によって排尿障害がみられることがあります。たとえば、おしっこをするときに、包皮におしっこがたまってふくらんだり、おしっこが細くしか出なくなる、などです。
 
無理に剥こうとすると嵌頓(かんとん)包茎が起こります。狭い包皮の先端で亀頭が締め付けられて、腫れてしまう状態です。早く戻す必要があります。
 

4.日常のケアと内科的な治療方法

乳幼児期は入浴時に他の部位と同様に石鹸で洗う以外にすることは特にありません。無理に力をかけて包皮を剥くと、出血したり治る過程で瘢痕化(硬くなること)することがあるので控えましょう。やるのであれば、入浴時に痛くない程度に軽く剥く程度にとどめます。もし仮性包茎の状態になっても、入浴後は包皮を戻します。
 
軽く剥くことに加えて、ステロイド軟膏を包皮の先端に塗ることで包茎が改善することがあります。1日2回、最短で2週間または4~6週間続けることで8割前後は仮性包茎の状態になります。当院でも必要であればステロイド軟膏を処方することもあります。
 

5.手術について

自然に良くなることが多いため、手術の時期や適応に決まったものはないようです。
 
手術は保存療法が無効で、1)繰り返す亀頭包皮炎、尿路感染、2)排尿障害、3)嵌頓包茎、4)家族の希望が強い、5)宗教上の理由、などの場合に限って行われます。
 
ちなみに包茎の状態のままであっても性機能・生殖機能にとくに問題はないとされています。
 

出典

Up to date 'Care of the uncircumcised penis in infants and children'
 
小児外科学会のホームページ 
 
今日の臨床サポート「包茎」